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書評:『地球の長い午後』

ブライアン・W・オーリディス(著), 伊藤典夫(訳), ハヤカワ文庫, 1977年 [link]

超絶設定からの超絶展開からのぶっ飛んだフィニッシュまで、全編まさにザ・サイエンス・フィクション。

我が家の「絶対に貸さない・売らない・捨てない本」コーナーの一角を占めるオールタイムベストの中からの1冊。SF(とくに「純粋な」SF)というとこの本が頭に浮かびます。高校生の頃に初めて読んで、唖然としました。手元の本は2017年の27刷ですが、この格好いい表紙が目に留まりまた読みました。原作の出版が1961年だそうです。60年前。文字、小説、そしてSFという表現手法が今よりももっとパワフルでワカワカしくてイキイキとしていた時代が脳裏に広がります。

これは終末世界を舞台にした作品ですが様々な超絶生物が独自の生態系を持った世界が描かれています。あとがきにも書かれていますがこれは翻訳大変なやつですよね。「ツナワタリ」「ベンガルボダイジュ」「ハネンボウ」などなど。主要キャラクターではソーダル・イーが良いですね。この世界を生きるならソーダルの立ち位置がいい。

今の時代に書かれたらもっとゆっくりテンポの長々した10冊組とかになっていたかもしれませんが、377ページでここまで持っていく強引な進行とそれを読ませてしまう作品のチカラには脱帽です。


2022年1月3日